2025/09/30
秋から冬にかけて旬を迎える、食物繊維たっぷりなホクホクで甘いさつまいも。
おかずにもお菓子にも使えて便利な食材ですが、保存方法を誤って「変色した…」「甘さがなくなった…」という経験をした方もいるのではないでしょうか。
この記事ではさつまいもの正しい保存方法と長持ちのポイントをお伝えしつつ、常温・冷蔵・冷凍保管のメリットとデメリットも解説します。
さつまいもは温暖な地域で栽培されるため、寒さや乾燥に弱い性質があります。
常温保存がベターですが、保存時期や調理方法によって冷蔵・冷凍保管が有効な場合もあります。
正しい保存方法で最後までおいしく食べられるように工夫をしていきましょう。
さつまいもを長持ちさせる保存の基本ルール
さつまいもは寒さと乾燥に弱い野菜なので、正しい保存方法でなければすぐに傷んだり甘さを失ってしまいます。
この特徴を踏まえた『さつまいも本来の甘さやホクホク感をキープする基本ルール』は以下の通りです。
早速、さつまいもの保存に関する基本ルールを詳しくチェックしていきましょう。
洗わずにそのまま保存する
さつまいもを長期保存するときは、水洗いをしてはいけません。
さつまいもの表面が濡れると、表面から雑菌やカビが繁殖しやすくなって一気に傷みやすくなってしまいます。
特にさつまいもの皮は薄くてデリケート。
洗った際にキズがつくと、そこから一気に傷んでしまうことも珍しくありません。
さつまいもにとって理想的な保存方法は、泥付きのままで新聞紙や紙袋に包んで保存する方法です。
一見不衛生に見えますが、表面に残った土が適度に湿度を保つため長持ちにつながるのです。
なお、洗った状態で販売されていたさつまいもは、水分をしっかり拭き取って一本ずつ新聞紙やキッチンペーパーで包んで保存しましょう。
余分な水気をさつまいもに残さないことは、傷みやカビを生やさない最大のコツです。
涼しく風通しが良い暗所で保管する
さつまいもの長持ちにもっとも理想的な環境は、10~15℃程度に保たれた風通しが良い暗所です。
5℃以下の寒すぎる環境では低温障害を起こして表面や中身が黒く変色したり、味も水っぽく甘みを失いやすくなります。
さらに、15℃を超えると発芽・発根が活発化し始めるため、温かすぎる場所も良くありません。
ご家庭であれば冷暗所や床下収納がおすすめですが、どうしても難しい場合は段ボールに入れて湿気と温度変化から守るように工夫しましょう。
また、常温保存が難しくなる夏場は冷蔵保管が推奨されています。
時期やタイミングに応じて適切な保管場所が変わるので、気温を考慮して購入量を調整すると良いでしょう。
新聞紙や紙袋で包んで湿気から守る
さつまいもは湿度の影響を受けやすいため、そのまま積み重ねて保存すると、腐ったり乾燥しすぎたりする恐れがあります。
私自身も、収穫したてのお芋を十分に乾燥させずにそのまま暗所保管してカビを生やしてしまった経験があります。
さつまいもを湿気から守るために、1本ずつ新聞紙で包んで紙袋や段ボールに入れて保存するのがおすすめです。
新聞紙は吸湿性と保湿性を兼ね備えているため、余分な水分を吸い取りつつ適度に保湿する効果が期待できます。
さらに、1本ずつ包むことで、もし1本が傷んでも他にカビや腐敗が広がりにくくなるメリットもあります。
さつまいもの保存方法【常温】
さつまいもでもっとも基本的な保存方法は、10~15℃程度に保たれた場所での常温保存です。
常温保存した場合の保存期間は1~3ヶ月ほどと長く、状態が良ければさらに長期間貯蔵することができるでしょう。
保存時は水洗いせず、泥がついたままの状態で問題ありません。
- さつまいもを一つずつ新聞紙で包む
- 段ボールや紙袋に入れて湿気から保護する
- 風通しが良く、直射日光が当たらない暗所で保存
ビニール袋は湿気がこもりやすく腐りやすくなるので、避けた方が良いでしょう。
さつまいもの保存方法【冷蔵】
5℃以下で低温障害が生じるものの、夏場や水洗いされたさつまいもを保存する際は冷蔵保存がもっともおすすめです。
なお、冷蔵保存する際は野菜室を活用することで味や風味を損ないにくくなります。
冷蔵庫で保存した場合の保存期間は1週間ほど。
それ以上長くなると鮮度が落ちて低温障害が顕著となるので、できるだけ早めに食べきるようにしましょう。
- さつまいもを一つずつ新聞紙で包む
- 乾燥を防ぐために、ポリ袋やビニール袋に入れて緩く口を結ぶ
- 冷蔵庫の野菜室で保存する
冷蔵室やチルド室はさつまいもにとって寒すぎる環境です。
美味しいさつまいもをキープするために、スペースを確保して野菜室で保管するようにしましょう。
さつまいもの保存方法【冷凍】
さつまいもを更に長持ちさせたいときは、一手間加えて冷凍保存をしましょう。
なお、冷凍保存での保存期間は1ヶ月程度が目安です。
- さつまいもを水洗いしてきれいにする
- 皮付きのまま使いやすい大きさにカットする
- 10分ほど水にさらしてアク抜きをする
- キッチンペーパーなどで表面の水気をしっかり拭き取る
- 4を冷凍保存袋に入れ、芋が重ならないように平らに並べて空気を抜く
加熱して冷凍保存する際は、3の後に少し固めに茹でて水気を取って冷凍するだけで構いません。
なお、お料理に用いる際は、凍ったまま使うのが美味しく食べるポイントです。
さつまいもの保存は常温・冷蔵・冷凍どれがいい?
さつまいもを生のまま保存するなら、10~15℃の常温保存がもっとも理想的です。
とはいえ、気温やさつまいもの状態によっては冷蔵・冷凍保存の方が適切な場合もあるため、その時に応じた適切な方法を選びましょう。
- 常温保存…生のさつまいもや水洗いしていない場合に適切
- 冷蔵保存…夏場の保管・カット、加熱済みの場合におすすめ
- 冷凍保存…最長1ヶ月程度保存可能。適当なサイズにカットして保存
「どのくらいの期間保存するか」「どんな料理に使うか」を考えて保存方法を選べば、さつまいもを無駄にせず最後までおいしく頂くことができます。
さつまいも保存に関するQ&A
ここでは、さつまいもの保存に関して特によく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。
切って余ったさつまいもの保存方法や、保存後の見た目・状態の変化についてなど、知っておくと役立つポイントを確認しましょう。
常温でどれくらい日持ちする?
さつまいもを常温で保存する場合、10〜15℃の涼しくて風通しの良い場所であれば1~3ヶ月ほど日持ちします。
秋〜冬の気温と湿度が安定している時期であれば、新聞紙で包んで段ボールや紙袋に入れておくと良い状態を長くキープしやすいでしょう。
ただし、さつまいもは気温が20℃以上になると発芽・発根が盛んになり、逆に5℃以下になると低温障害で黒ずみや味の劣化が起こります。
仮に冬であっても暖房の影響がある場所では、上手く日持ちしないことも珍しくありません。
まとめ買いをしたときは常温で食べ切れる分だけを残し、残りは冷凍保存に回すなど、保存期間に合わせて使い分けると良いでしょう。
冷蔵庫に入れると甘みが落ちるって本当?
本当です。
さつまいもは10℃以下で冷やされる冷蔵庫に入れると、デンプンの分解がうまく進まず甘みが減って味が落ちてしまいます。
これを『低温障害』と呼び、身が水っぽくなったり、表面に黒い斑点が現れて見た目も悪くなってしまいます。
ただし、加熱調理したさつまいもや、カットしたさつまいもはカビ・食中毒防止の観点からも冷蔵庫で保存する方が良いでしょう。
ラップに包んで密閉容器に入れれば2〜3日程度は風味を保つことができます。
切って余ったさつまいもはどう保存する?
切って余ったさつまいもは、断面が空気に触れないようにラップでぴったり包んで冷蔵庫(野菜室)で保存するのがおすすめです。
また断面が酸化して黒ずみやすくなるため、あらかじめ水にさらしてアク抜きしておくと変色を予防することができます。
冷凍保存すると味や食感は落ちる?
生さつまいもを冷凍保存すると、細胞が破壊されて味や食感が少し落ちてしまいます。
調理方法に制限が生じますが、冷凍保存するなら加熱したさつまいものほうがおすすめです。
焼いたり茹でたさつまいもを冷凍保存すると、デンプンが糖化して一層甘みが増し、しっとりとした食感へと変わります。
とはいえ、いずれの場合も冷凍することでゆっくりと鮮度や味を失っていきます。
できるだけ1ヶ月程度で食べきるようにしましょう。
芽が出たさつまいもは食べられる?
さつまいもの芽はじゃがいものように有毒成分を含まないため、基本的に食べても問題ありません。
ただし、芽の周辺は食感が硬くなったり風味が落ちていることが多いため、取り除いてから調理するのがおすすめです。
また、芽が伸びすぎていたり、芋全体がしなびて柔らかくなっている場合は品質が良くありません。
無理に食べるより、傷んでいる部分が多ければ処分した方が安心でしょう。
なお、さつまいもの芽も食べることができます。
一説によると、戦後の食糧難の際にさつまいもの芽を食べていた時期もある様で、炒めると甘くて美味しいとされています。
黒い斑点や変色が出ても問題ない?
さつまいもを保存していると、表面や断面に黒い斑点や色の変化が見られることがあります。
状態によって、食べられるものと食べてはいけないものがあるので注意しましょう。
- 黒い斑点や筋状の変色:寒すぎる環境で保存すると低温障害で変色。風味は落ちるが食べてOK
- ヌメリや異臭がする:カビや腐敗による変色の可能性。表面が白や緑、青っぽく変色したものは要注意
- 加熱後に黒く変色する:加熱でポリフェノールが酸化して黒くなることも。品質や安全性に問題なし
なお、カビによる変色が疑われる際は食べない方が無難です。
仮にカビが生えた場所を切り飛ばしても、目に見えない胞子や菌糸が芋の内部にまで広がっている恐れがあり、食中毒のリスクになります。
まとめ:保存方法を守って長くおいしく楽しもう
さつまいもを長期間保存するなら、10~15℃の常温保存がもっとも一般的ですが、加熱の有無などによって正しい保存場所が変わります。
その中でも長持ちさせる重要なポイントは、温度管理を行って乾燥を避けること。
正しく保存をすることで長くさつまいもの優しい風味を楽しめるので、保存の際はぜひ一手間加えて大切に保管してくださいね。